【通貨安戦争】 TV  イラン スワップ  - FXプロフェッサー鈴川克哉の大人なFX

【通貨安戦争】 TV  イラン スワップ 

先週は、ソニー、パナソニック、シャープなどの電機メーカーが相次いで業績の下降修正を発表し、今期決算で数千億円規模の赤字となることを公表しました。いずれも主力であるテレビ部門が不調でした。もちろんタイの洪水、世界的な景気の落ち込み、等の理由はありますがやはり円高による輸出の不調でライバルである韓国の企業に負けたということでしょう。

韓国は公式には否定しますが、ほぼ確実に国を挙げて韓国ウォン安に為替を誘導していると見られています。国内に資源も大きな市場もない韓国は貿易への依存度は高く、ウォン安は輸出産業に有利に働きます。現在、1ドル1100ウォン程度で、2009年には一時1500ウォンを超えていたことを考えると落ち着いてはいますが、対ドルでの円高に伴い、対円では2007年には13円(100ウォン)だったのが最近は6円程度と半分以下に下がってしまっています。

企業にとって、自分自身で決めた製品の価格が他の要因で変わってしまうのは非常なリスクです。その意味で為替リスクは輸出企業にとって最大の外部リスクといえるかもしれません。
韓国の企業にとっても日本の企業にとっても自国通貨が基軸通貨でなく、貿易相手国との為替リスクにさらされている国の企業にとっては自国通貨が安ければ安いほど有利となります。
当然これはどこに行ってもドルで決済できるアメリカ企業にとっても同様なことであり、ドル安であればあるほどアメリカ企業にとっては有利に働きます。

またユーロ圏の企業にとっては圏内の貿易は為替リスクがなくなりますが、やはりユーロ圏外に輸出するとなればユーロ安のほうが有利です。
ユーロ圏の覇者ドイツも輸出型企業が多く、ユーロ発足以来、基本的にドイツマルク時代よりも安いユーロ相場の恩恵を一番受けてきたはずです。

これが、いわゆる通貨安競争であるのですが、ここで注意しなければいけないのが、相場的にほかの国々に対して弱い方が有利であるのは確かではあっても、通貨が「弱体化」するのは絶対阻止しなければいけません。
つまりアメリカドルが基軸通貨であるのは世界の貿易の中で決済通貨として圧倒的な地位を占めているからであり、どんな時でも決済のための絶対的な流通額が保障されており、通貨の価値が(上下するにしても)安定的でなければいけないのです。

2003年のイラク戦争の原因は2000年にイラクのフセイン大統領が石油の取引をドル建てではなくユーロ建てに変えたこともあるという説もあります。
また、現在緊張が高まっているイランも石油の決済をドル建てからユーロ、あるいは円建てにしてゆこうという意思があるようです。
アメリカが執拗にイランに対して強気に出るのも基軸通貨としてのドルの弱体化は絶対に阻止しなければいけないからでしょう。

アメリカが公式にドル高を望む、と言い続けるのも基軸通貨の維持が必要であるからであり、通貨安競争としては弱くなった方が有利ではあるものの、通貨としての信頼性が薄れることは阻止しなければいけないのです。

国を挙げてウォン安を目指していた韓国がウォン安になりすぎて、輸入物価の高騰を招き、日本政府と昨年秋に700億ドルの通貨スワップ協定の拡大を決定しました。
最近のニュースいくつかを見ても、いかに通貨競争がし烈であり、乗り切るのが困難であるかがわかるかと思います。
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